グライダー人間

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「君に友達はいらない」 瀧本哲史

君に友達はいらない

君に友だちはいらない

君に友だちはいらない

 

この本を選んだ理由

 僕はこの本を本屋で見たとき迷わず手に取り目次をのぞいてみた。こんなにも友達の存在を否定するようなタイトルの本は見たことがなかったので衝撃的だった。僕が大学に入ってから半年以上経つが、友達が多いとは言えない。もともと僕は内向的な人間なので、誰かと仲良くなるのに時間がかかる。そんな性格の僕にとって友達作りというのは大きな負担になる。大学に入ってから友達の必要性についてなんども考えてきた。答えがなかなか出ない時ふと見つけたのがこの本であった。

本の概要

 今の日本人に必要なのは「友達」ではなく「仲間」である。グローバル化が進む現代社会では、見ず知らずの人と繋がることがとても容易になった。たくさんの友達を作ることが簡単になった。しかし目的を達成するのに必要なのは、本当に信頼できる仲間なのである。その仲間もある目的を達成すれば解散しそれぞれ別の目的に向けて道を歩むことになる。そこで必要になる力が自分にない能力を持つ人を見つけ出し、仲間として同じ目的に向かってもらうよう説得する力である。筆者はチームに必要な構成員の特徴を『7人の侍』という映画を元にわかりやすい形で説明している。

本の内容と感想

 良いチームの特徴とこれから僕たちがどういう繋がりを作っていくべきかというこよについて本の内容とともに説明していこうと思う。

 

ゲゼルシャフトゲマインシャフト

 人の繋がりには大きく二つがある。それがゲゼルシャフトゲマインシャフトである。ゲゼルシャフトとは同じ目的のために集まった人たちによる繋がり、ゲマインシャフトとは家族など縁による繋がりである。これからの時代目的を達成するのに必要なのはいうまでもなくゲゼルシャフトである。インターネットが普及していなかった頃は、学校や家族の縁、つまりゲマインシャフトが重要であったが、誰とでもつながることができるようになった今、ゲゼルシャフトの重要性が増しているのである。

 

その人の周りにどんな人がいるかによってその人物のパーソナリティがくっきりと明確に浮かび上がる

 普段何気なく関わっている人たちというのは自らの性格と似た性格を持っていることが多い。自分の性格は関わる人によって決定されるということである。つまり性格を変えたければ関わる人を変えればいいのである。チームに必要なメンバーを見つけるためには、普段自分が関わらないような人を優先的にスカウトしないといけないんだろうなと思う。時には嫌いな人をチームの一員として受け入れなければならないのである。

 

ヒトデはクモより強い

 これは実際に戦わせたときにどちらが強いのかということではない。チームという枠組みで考えた時に、強いのがヒトデ型チームなのである。クモは8本の足がある代わりに頭を潰されたら死んでしまう。要するにハンターハンターに出てくる幻影旅団的なチームである。メンバーの忠誠心は強いがリーダーがダメになった途端にどう行動すればいいかわからなくなる。クモと違ってヒトデには5本の足しかないがどの足が取れても再生することができる。必要に応じてメンバーの入れ替えが起きやすい特徴を持つとも言える。言わばヒトデ型チームとは分散型のチームなのである。複数のリーダーを設けることで一人のリーダーが失敗しても挽回しやすいし、目的を達成すれば容易に解散できる。どちらにもメリットがあるように思えるが、現代において強いのがヒトデ型のチームなのである。これからの時代一つの会社に一生務めることはほとんどなくなると言われている。そんな現代においてはある目的を達成したチームは解散するのが当たり前となるのである。クモ型のチームでは大きな目標を打ち上げるのにはリスクが高すぎるのである。柔軟性の高いヒトデ型のチームこそこれからの時代必要とされる。弱くて多様な繋がりが必要なんだろうなと思う。

 

良いチームの構成員とは

 ここでは筆者の言う優れたチームの構成員を紹介する。こういったチームにおいては一人の失敗の責任を全員が負うこととなる。

  • 勇者:ビジョンをぶち上げるリーダー。リスクをとることを厭わない
  • 魔法使い:正しい方向性を示すことができる知性と経験を持つメンター。『ハリーポッター』で言えばダンブルドア、『指輪物語』ならガンダルフのイメージである
  • エルフ:頭の回転が速く、客観的に物事を分析できる。勇者がぶち上げたビジョンに対して、それを現実のものとするために何が必要で、いつまでにどんなことを達成しなければならないかを冷静に計算する。『ハリーポッター』で言えばハーマイオニー・グレンジャーである。
  • ドワーフ:熱狂的な忠誠心を持ち、チームの持つビジョンの実現に向けて力強く行動していく。『ハリーポッター』で言えばローン・ウィーズリーである。
  • トリックスター:既存の秩序にとらわれず、時にはそれを壊して新たな気づきをチームにもたらす。外部との繋がりを作る。

 どうだろうか、言われて見れば良いチームには大体このようなメンバーが含まれていないだろうか。『ナルト』や『スラムダンク』、『ワンピース』、『クレヨンしんちゃん』、『嵐』。誰から見てもいいチームと言われるようなチームには上の構成員で組まれていることが多いように思える。

 

まとめ

この本はタイトルからは想像もできないほど暖かい内容になっている。目的の達成に本当に必要なのは、仲間である。馴れ合いをするだけの友達と時間を過ごすよりも、大きな目標をぶち上げ、その目標のために必要な仲間を探す練習をすることは大学生のうちから始めても遅くないように思えた。僕らの世代にはインターネットという武器がある。それをうまく使えるかどうかにこれからの僕たちの未来はかかっているのだ。